過去3年間に上演した作品をご紹介します。
私はだれでしょう
時代の声に耳を傾けて
私は「私」を取り戻す
昭和20年。すべての人が心の喪失者となった。
井上ひさしが"敗戦後の日本"を舞台に
忘れてはならないものを紡いだ物語。
もう一度この国を選ぶために―。
前回再演時に好評を博したキャスト、スタッフ陣でより深く挑む。
戦後75年の今、私たちは改めて問われる。
敗戦直後の昭和21年7月。
今よりもずっとラジオが人々の傍にあった。
日本放送協会の一室からラジオ番組「尋ね人」は始まった。
15分間の放送の中では戦争で離ればなれになった人々を探す
無数の"声"が全国に届けられた。
脚本班分室長である元アナウンサー川北京子をはじめとする三人の女性分室員は
占領下日本の放送を監督するCIE(民間情報教育局)の事前検閲を受けながらも
番組制作にひたむきに取り組んでいる。
そこへ日系二世のフランク馬場がCIEのラジオ担当官として着任。
そんなある日、彼らの元に一人の男が現れた。
自称・山田太郎と名乗るその男は言う。
「ラジオで私を探してほしい」。
次々と騒動が巻き起こる中、自分自身がわからない男の記憶が
ひとつひとつ明らかになっていく――。
これは戦後のラジオ番組「尋ね人」の制作現場を舞台に
「真実」にひたむきに向き合った、向き合うことから逃げなかった
誇り高き人々の物語である。
「私はだれでしょう。だれであるべきでしょう」
先行きがわからないときは過去をうんと勉強すれば未来は見えてくる
――――井上ひさし
2020年10月9日(金)〜22日(木)
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
<公演終了>
【全国公演】
2020年10月27日(火)〜29日(木)
いわて生協[会員制公演]
<公演終了>
2020年12月3日(木)〜20日(日)
近畿演劇鑑賞団体連絡会議[会員制公演]
ある八重子物語
舞台は、昭16(1941)年から敗戦直後の昭21(1946)年にかけての柳橋・古橋医院。
ここに集う人びとは、水谷八重子に心酔する古橋院長を筆頭に、事務方、看護婦、女中まで全員が大の新派マニア。
患者の身の上話もたちまち「婦系図」風の筋書きに。そこへ八重子そっくりの「音楽のような声」をもつ芸者花代が登場、
恋愛事件もわきおこって大騒動。
はたまた「女形の研究」に熱中するあまり、入営日に寝過ごし徴兵忌避者になってしまう大学生もからんで......。
新劇から出発して新派で活躍した初代・水谷八重子(1905?1979)。「世の中がいまより少しでもましになりますように」
という新劇の考え方に影響を受け、〈女優〉という新しい職業の確立をめざした時代の先駆けとして知られています。
戦前・戦中・戦後。とある病院を舞台に、新派を愛する人びとによって語られる八重子の芸と生きざまとは。
井上ひさし流の爆笑とユーモラスな筆致で、「滝の白糸」「婦系図(おんなけいず)」「日本橋」「明治一代女」など
新派劇の代表的な舞台や名台詞も散りばめられて物語が展開します。
初演は水谷八重子十三回忌追善・新派特別公演として1991年新橋演舞場で上演。
井上ひさし版〈昭和と女優〉ともいえる傑作戯曲を、初の民藝+こまつ座提携でご覧いただきます。
2020年12月18日(金)〜 27日(日)
東京芸術劇場 シアターイースト
人間合格
津軽が運んできた日本の、
青春の風だべよ。
青年・津島修治の嘘に爆笑し、
作家・太宰治の真実に涙あつく溢れる、
あの評伝劇が、演出鵜山仁と精鋭揃いのスタッフ、
実力派キャストで甦る。
「ちくしょう、三人いるとイヤになるくらい盛り上がるなあ。」
「...ぼくでいいのか。」
「君だからいいのだ。」
昭和五年春。東京帝国大学に合格した青年、津島修治のちの太宰治。
「この世が今のような涙の谷であってはならぬ。
われわれはこの世から涙を退治する民衆の友でなければならぬ」と
帝大生の佐藤、早大生の山田、三人は生涯の友情を誓い合う。
そこに青森から大地主である津島家の番頭、中北が大切な話があるとやってきて―。
太宰治文学の数々(「走れメロス」「人間失格」「晩年」...)を巧みに織り込み、
大きなうねりの時代の中にあった青春の日々を描いた井上ひさし版評伝劇。
12年の時を経て、2020年夏、新たに開幕。
手前味噌を申し上げれば、これは、お腹の皮がよじれるほどおかしくて、
頬が乾くひまがないほど哀しくて、数冊の研究書に匹敵するほどためになる、
太宰治の評伝劇です。どうしてもこんなものが書けたのか、いまでも
その理由がわかりませんが、たぶん太宰治が天のどこからか手助けを
してくれたのだとおもいます。 ――――― 井上ひさし
【2020年7月2日更新】
『人間合格』劇場での感染症対策への取り組みとお客様へのお願い
7月6日に初日を迎えます、こまつ座 第133回公演『人間合格』会場におきまして、ご来場の皆さま及び出演者、
公演関係者の安心と安全を確保するために、こまつ座では以下の感染症予防対策を講じてまいります。
ご来場いただく前に、あらかじめご確認くださいますようお願い申し上げます。
<ご来場になるお客様へのお願い>
●ご来場の前に
1)ご出発前に、ご自身での検温をお願いいたします。検温の結果、37.5℃以上の発熱があった場合、
ご来場をお控えくださいますようお願いいたします。
2)発熱のほかに、下記の条件に該当する場合も、ご来場をお控えくださいますようお願いいたします。
○極端な咳、呼吸困難、全身の倦怠感、咽頭通、鼻汁・鼻閉、味覚・嗅覚障害、眼の痛みや結膜の充血、
頭痛、関節痛、筋肉痛、下痢、吐き気・嘔吐...など。
○新型コロナウイルス感染症で陽性とされた者と、濃厚接触がある場合。
○2週間以内に、感染が拡大している国・地域への訪問歴がある場合。
○上記の当該地域で、在住者との濃厚接触がある場合。
3)上記に該当するお客様のチケットは、払い戻しをいたします。
詳細については、こまつ座 03-3862-5941 までお電話にてお問い合せください。
●劇場でのお願い
1)飛沫感染予防のため、ご来場時ご観劇時等は、常にマスクの着用をお願いいたします。
2)ご入場に際して、非接触型体温計による検温を実施させていただきます。
検温結果によっては、改めて体温測定をさせていただき、37.5℃以上の場合はご入場をお断りいたします。
なお、該当の場合には、チケットは払い戻しをいたします。
3)今公演の開場時間は、入場時の混雑回避のため、開演の40分前に変更いたします。
開演時間が近くなりますと混雑いたしますので、どうぞお時間に余裕をもってご来場ください。
また、入場に際しては、前の方との距離を保ちご整列くださいますようお願いいたします。
4)入場時には、必ず手指消毒をお願いいたします。
5)咳エチケットは必ずお守りください。
6)飛沫感染防止の観点から、場内での会話は極力お控えいただきますよう、お願い申し上げます。
7)劇場ロビーでのお食事は極力お控えいただき、ご来場前にお済ませいただけますようお願いいたします。
なお、今公演におきましては、お飲み物はペットボトルのお水・お茶に限り、上演中を除いて、
客席でもお召し上がりいただけます。なるべくご自席をご利用ください。
8)政府からの要請により、万が一、新型コロナウイルスに感染された方がご観劇された場合に、
同一公演のその他のお客様に対して確実に連絡が取れるよう、ご来場者情報のご提供にご協力ください。
お預かりした個人情報は、必要に応じて保健所等公的機関へ提供させていただく場合がございます。
<こまつ座、紀伊國屋サザンシアターでの主な感染症対策への取り組み>
1)新型コロナウイルスに関する、こまつ座・劇場の取組みやお客様へのお願い・注意喚起文書を、会場内に
掲示いたします。
2)入場口、ロビー、お手洗い等に消毒除菌剤を設置いたします。
3)洗面所にはペーパータオルを設置いたします。ペーパータオルやご自身のハンカチをご使用ください。
4)劇場スタッフも必ず検温を行い、マスクを着用いたします。
5)入場時のチケットもぎりや販売スタッフ等は、マスクの他にフェイスシールド・手袋を着用させていただく
場合がございます。
6)感染症予防の観点から、プログラム見本品の設置・ひざ掛け等の貸し出しは控えさせていただきます。
7)客席の肘掛けや場内の手すり等は、公演毎に適宜消毒いたします。
8)場内の空気は、空調換気システムにより、一定のサイクルで新鮮な外気と入れ替えております。
【東京公演】
7月6日(月)〜23日(木・祝)
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
<公演終了>
【山形公演】※やむなく中止となりました
川西町フレンドリープラザ
7月26日(日)15:00開演
【仙台公演】
日立システムズホール仙台 シアターホール
8月1日(土)13:30開演
【兵庫公演】
兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
8月8日(土)12:00開演
【名古屋公演】
御園座
8月18日(火)18:30開演
きらめく星座
忍び寄る戦争の影―
暗闇の中で光を求めもがくのは、
いつの時代も"きらめく庶民たち"だった。
戦後75年の今が"戦前"にならぬよう祈りを込めて...。
時代を彩った『月光値千金』・『燦めく星座』・
『一杯のコーヒーから』・『青空』などの流行歌と共に、
魅力溢れるキャスト陣を迎え、
名匠・栗山民也の手により堂々の上演。
ごく普通の人間のごく普通の生活を
キチンと描けば観客が腹を抱えて笑い、
ポロポロ涙を流してくださる。観客の笑いと涙、
これは戯曲を書く人間にとって最大、最高の勲章です。
これが昭和庶民伝三部作そもそもの始まりです。
これはいわば私戯曲のようなもの。
戦争の影が日ごとに色濃くなっていた昭和15年、
太平洋戦争開戦の前年、東京・浅草の
小さなレコード店に集う人々を通して描いた作品です。
描く時代は決して明るいものではありませんが、
各場にちりばめられた当時の流行歌に載せて描かれた物語は、
涙と笑いに満ち満ちた懐かしい香りのするものなのです。
――――井上ひさし
2020年 3月10日(火)〜15日(日)
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
※5日(木)〜8日(日)はやむなく中止いたしました
<公演終了>
【全国公演】
2020年3月17日(火)〜4月24日(金)
首都圏演劇鑑賞団体連絡会 ※一部公演中止
2020年5月22日(金)〜6月8日(月) → 6月26日(金)〜29日(月)
静岡県演劇鑑賞団体連絡会議 ※一部公演中止・延期
2020年7月2日(木)〜31日(金)
中国地区演劇鑑賞団体連絡会議 ※一部公演中止
イヌの仇討
歴史の死角で眠っていた物語が今、再び。
時代の真実は虚偽と嘘だらけ。
果たして、吉良上野介は本当に悪者だったのか、
赤穂浪士は本当に義士なのか、忠臣蔵は本当に美談なのか...
歴史のからくりと人間のドラマ、
現代を鋭く見つめる井上戯曲の神髄が東憲司の手によって再び!
思えば、あの白髪の品のいい老人が気の毒でならぬ。
ある日、些細なことを根にもたれ、いきなり切りつけられたばかりか、
あげ句の果てには殺されて、壮大な貴種流離譚のために、
三百年間、悪く言われっ放しのあの老人を、
私はときどき手を合わせて拝みたくなる。
――――井上ひさし
2020年1月17日(金)〜19日(日)
横浜市泉区民文化センター テアトルフォンテ ホール
<公演終了>
【全国公演】
2020年1月20日(月)〜2月19日(水)
全国演鑑連中部・北陸ブロック協議会
2020年3月9日(月)〜16日(月)
四国市民劇場 ※一部公演中止
2020年3月25日(水)〜4月3日(金)
北海道演劇鑑賞団体連絡会
雪やこんこん
女座長・中村梅子の"熱と力"で織りなす庶民の希望とは。
大衆演劇の光と影、そして、夢。先達たちによって生み出された名台詞の数々と
共に女座長とその一座の楽屋から見えてくるのは...人情と縁と人生と。
女座長・中村梅子一座はかつて一世を風靡した老舗の一座。しかし時代はまさに戦後の娯楽ブーム。
一座では役者がドロンを決め込み、わずかに残った役者にも不平不満が渦を巻く。
問題山積み一座をなんとか救おうと座長が運命をかけて演じた一世一代の名演技。
その姿にすっかり騙され、うっとり惚れ直した人々の運命はいかに?
井上ひさしが昭和の時代に手掛けた昭和庶民伝三部作、激動の時代に翻弄された愛しき庶民の姿を
通して、今でも変わらない人間を逞しさを紡ぐ。
どうしてもわたしは、中村梅子一座のことが気になるのです。――― 井上ひさし
【公演を中止いたします】
2020年4月24日(金)〜5月8日(金)
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA