現在公演中の作品と今後公演予定の作品をご紹介いたします。
頭痛肩こり樋口一葉
5月28日(土)前売開始


ぼんぼん盆の十六日に地獄の地獄の蓋があく ────
夭折した明治の女流作家・一葉を取り巻く5人の女性たちが織りなす
この世とあの世の境界線。
激動の明治に生を受け、若くして樋口家の戸主となった一葉(本名・夏子)。
女性でありながら母・多喜と妹・邦子との暮らしを守るために小説を書いて生計をたてることを決意する。
苦悩やしがらみと向き合いながら筆を執る彼女の前に現れたのは幽霊・花螢。
一葉と花螢のユーモア溢れる交流を軸にしたある時代を生きた女性6人の物語。
好景気で浮かれる上層と下層の間で、美しい文体で時代ともに生き抜いたあらゆる階級の女性達の頂上から底までを見た一葉...。
24歳6か月の若さでこの世を去るまで多くの名作を発表した夭折した天才女流作家の"奇跡の14か月"とは...。
くやしい思いをしつつ生きる人たちの心の動きを
百年後の私たちにも通じるように書いたというところに、
一葉の偉大さがあると思います。
──── 井上ひさし
★ 演出・栗山民也さんからコメントをいただきました ★
★ 出演者の皆様からコメントをいただきました ★
イヌの仇討
9月10日(土)前売開始


吉良上野介、赤穂浪士、忠臣蔵...正義も悪も、世の中が変われば見方も変わる。
歴史のからくりと人間のドラマが交錯する、
現代(いま)をも鋭く切り取る物語が東憲司の手で再々演。
討ち入り当日、密室でお犬様と炭焼き小屋に隠れていた吉良上野介はどんな思いで
首をはねられるまでの二時間を過ごしたのか。
吉良の目線から、その知的な興味を駆使して語られるスリリングな舞台運びは、
忠臣蔵のもう一つの側面を浮かび上がらせる。
大石内蔵助が登場しない「忠臣蔵」が描き出すものは何か。
300年余の時を超え、今なお真実を問い続ける井上ひさし版「忠臣蔵」異聞。
時は元禄十五年(一七〇二)
十二月十五日の七ツ時分(午前四時頃)。
有明の月も凍る寒空を、裂帛の気合、不気味な悲鳴、そして刃に刃のぶつかる鋭い金属音が駆け抜ける。
大石内蔵助以下赤穂の家来衆が、ついに吉良邸内に討ち入った。狙う仇はただ一人。
「吉良上野介義央」
上野介は、家来、側室、御女中たちと御勝手台所の物置の中に逃げ込んでいた。
赤穂の家来が邸内を二時間にわたって、三度も家探ししていた間、身を潜めていたというあの物置部屋で、
彼らの心に何が起こったのか。
──討ち入りから三百二十年、歴史の死角の中で眠っていた物語は三度動き出す。
思えば、あの白髪の品のいい老人が気の毒でならぬ。
ある日、些細なことを根にもたれ、いきなり切りつけられたばかりか、
あげ句の果てには殺されて、壮大な貴種流離譚のために、
三百年間、悪く言われっ放しのあの老人を、
私はときどき手を合わせて拝みたくなる。
────井上ひさし
これは愛と犠牲の物語である。忠臣蔵の仇役・吉良上野介とその家臣たちに光を当てた異色作である。
井上ひさし版忠臣蔵には浅野内匠頭も大石内蔵助も出てこない。
主人公の白髪の老人は家臣を思い、忠義を重んじた。家臣たちも主人公を守ろうと必死に戦う。
討ち入られ逃げ込んだ物置の中で、登場人物たちはもがき苦しむ。
作者は権力に忠実なイヌとして生きてきた老人を慈しみながらも、滑稽に笑い飛ばし、厳しく残酷に打ちのめす。
生と死と、喜劇と悲劇が絶妙に混じり合い、観客の心を掴んでゆく。
初演、再演、そして再々演、更なる高みを目指すのだ。
戯曲に散りばめられた愛溢れる台詞の数々を光り輝かせ、あの事件を体現するのだ。
三百年前の事件を通して、きっと現代の日本が見えて来るはずである。
────東憲司
★大谷亮介さん、彩吹真央さん、三田和代さんから上演に向けてのコメントを頂きました。 ★