こまつ座:(井上ひさし・ 「the 座」創刊号より・ 84 年 4 月) 「the座」創刊号(84年4月)より
 

英語の定冠詞の“ the
(ザ)”に一座の“座”」

座という字の成り立ちは、屋根があって、人が二人以上いて、その下に土がある。こまつ座の劇場を持つという夢の実現にあたって、まずは紙の劇場として「 the 座」がスタートした。
 


 
 

      
 
 

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第29号:黙阿彌オペラ
 

前口上 井上ひさし

さて、河竹新七こと、黙阿彌が、弟子たちにポロリと漏らした言葉が二つあります。一つが、「おいらの一生なんざ、平凡すぎて、芝居にもなりゃしねえ」、もう一つが、「御一新なんざ、大がかりな御家騒動にすぎねえのさ」・・・・・・。/これからご覧いただく『黙阿彌オペラ』はこの二つの言葉を基に、前者には否定的に、後者には肯定的につくられています。とりわけ明治維新の目撃者でもある黙阿彌が、その維新を御家騒動として捉えていたことに熱く共感いたします。黙阿彌のこの判定は漱石の文明観にも通い合うものがありますが、政治改革から演劇改革まで、あらゆる改革がこの国では常に官製であって、改革はいつもその「拠り所」=主体を曖昧にしたまま成ってしまうようです。つまり事は常に一種の御家騒動の枠内に収まってしまうわけで、この苦い思いを基盤に据えながら、少しでもおもしろくなるように筆を進めましたが、もちろん舞台の出来不出来を裁く力をお持ちなのはお客様だけ。どうぞ存分にお楽しみ下さった上で、忌憚のないご批判を賜りますようお願い申し上げます。

上演戯曲 黙阿彌オペラ(一場) 井上ひさし

特集 黙阿彌物語 文・小田豊二

江戸を代表する歌舞伎狂言作者黙阿彌。その一生もまた大芝居。律儀な働き者の父の期待を裏切り、子供の頃から、遊蕩生活。その序幕から、抱腹絶倒。そのままいけば、遊び人か幇間か。だが、一幕から早くも暗転。作者になるのも、ひと苦労。病に臥したり、家業を継いだり。やっとなれた見習い作者も、弟死んで、ふたたび断念。二幕になって、ようやく立派な立作者。だが、それは名ばかり、実体はなし。そこにひとりの名優が現れてからが正念場。運が向いての、名作地獄。泥棒ばかりの白浪作家。さて、大詰の晩年は、涙なくして見られない、悲しき江戸っ子、明治の餌食。さあ、いいとこ、いいとこ。黙阿彌物語の幕があく。

座談会●演劇ってなんだろう16 河竹黙阿彌について

「河竹黙阿彌、まさしく江戸演劇の大問屋。没後百年をこえた白浪作者の健在ぶり」

ゲスト 河竹登志夫 演劇研究家

俳優インタビュー

辻 萬長(河竹新七)
「井上戯曲を演じつづけて、今度は、歌舞伎狂言作者。役者冥利の大役に挑む」

大高洋夫(久次)
「HANG IN THERE!」

溝口舜亮(及川孝之進)
「どんな役でも、美しくやりたいよ。現実が汚れていてもね」

松熊信義(円八)
「井上戯曲に出会って。芝居に生きがいを見出せた気がします」

朴 勝哲(陳青年)
「ルーツの照明。音楽の息づかいに、自分らしさを追及」

梅沢昌代(とら・おみつ)
「いつも、ワン・ナイト・スタンドで、舞台に立ちたい」

角野卓三(五郎蔵)
「初めての井上作品出演。器を大きく構えて、新たな自分を発見したい」

島田歌穂(おせん)
「こまつ座は私の芝居の原点。懐かしい場所で、新しいスタートを」

この人の仕事場4 音楽・宇野誠一郎

「音を捜す。」

お問合わせはこまつ座出版部まで
03-3851-6180
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