「the座」創刊号(84年4月)より
英語の定冠詞の“ the
(ザ)”に一座の“座”」
座という字の成り立ちは、屋根があって、人が二人以上いて、その下に土がある。こまつ座の劇場を持つという夢の実現にあたって、まずは紙の劇場として「 the 座」がスタートした。
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第18号:頭痛肩こり樋口一葉
死ぬのがこわくなくなる薬 井上ひさし 昭和三十年代の初めころ、四谷の文化放送の敷地のはずれに、木造二階建ての学生寮があった。(略)家主は聖パウロ会というカトリックの修道会で、舎監はドン・テスティというイタリア人神父だった。(略)ミサ用の赤葡萄酒を寮生にくすねられてもへこたれず、いつも陽気に冗談をとばしている天使のような神父であったが、昭和50年の春、彼はかつての寮生を集めて、こう言った。「わたくしのからだに悪いものが取り付きました。イタリアに帰って、天国に迎え入れられるのを待つことになりました。みなさんの顔を見るのも今日が最後です。みなさんがそれぞれの仕事で最善をつくされることを、天国から祈っています」/いつもの冗談かと思ったが、そうではなかった。腸にガンができてしまったらしい。(略)だれかが尋ねた。「天国なんてほんとうにあるんでしょうか」「さあ、それはわかりません」/笑いながら言い、それから、神父は、急にこれまで見たこともないような真面目な顔付きになった。/「しかし考えてください。死んでしまえばおしまい、死の訪れとともにすべてが無に帰すというのでは、悲しくて、侘しいではないですか。そこで、わたくしは、死後の世界に極彩色の天国があるということに賭けたのです。そのほうが楽しいし、死ぬのをこわがらないですむではないですか。わたくしは、この60年間、わたくし自身の天国を必死になってイメージしてきました。60年かかって、心の中に天国をこつこつと築いてきました。いま、わたくしの心の中には、たしかに天国は実在します。わたくしはそのことのために全生涯を費やしてきたのです」(略)自分は、かならずいつかやってくる死にたいして、なんの準備もしていない。そう思うとますます死がおそろしい。(略)なんとかして、死の恐怖を乗り越えなくてはならない。この作品は、そのような、死ぬのがこわくて仕方がない男の心のおののきから生まれたものである。書き上げてから、死への恐怖はいくらか減ったような気がする。そうも作者というものは、自分のための薬を調合する人種のようである。 ●それは大吉とあやめが村から逃げた日からはじまった。●貧しい家の娘、奈津。友はみなライバルだった。●あの人がいる。声が聞こえる。はじめて心がときめいた雪の日。●お力が、珠が、そして美登利が。一葉散っても咲いている。 「『放浪記』、1116ステージの金字塔。女優として新たなる冒険をめざしたい。」 ゲスト 森光子(女優) 『頭痛肩こり樋口一葉』劇中歌曲全楽譜 井上ひさしの『頭痛肩こり樋口一葉』の世界 野間正二 |
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俳優インタビュー 三田和代(稲葉鑛) 風間舞子(中野八重) 新橋耐子(花螢) |
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お問合わせはこまつ座出版部まで 03-3851-6180 |
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